「HAKONEIKU」温泉の効能ガイド

「HAKONEIKU」温泉の効能ガイド

箱根には多彩な泉質の温泉があることをご存じでしょうか。肌に優しいアルカリ性単純温泉から、体の芯まで温まる塩化物泉、デトックス効果が期待される硫黄泉など、それぞれの効能を理解すれば、温泉旅行がより充実したものになります。

この記事では、箱根を代表する泉質とその特長をご紹介します。旅のプランの選択肢に「湯めぐり」を加えてみてはいかがでしょうか。


PICK UP

温泉を知れば、旅はもっと深くなる。箱根の湯めぐり入門

温泉旅行の醍醐味は、良質な湯に身をゆだねながら日常の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュすることではないでしょうか。

温泉には多種多様な泉質が存在し、それぞれに良さがあります。泉質が持つ本来の力を知り、ご自身の体調や目的に合わせて選ぶことができれば、満足度のみならず、心身の向上にもつながることでしょう。

古くより湯治場として親しまれてきた箱根には、全国でも珍しいほど多彩な泉質が存在し、その数は約20種ともいわれています。pH値や成分の違いにより、肌への優しさや保温効果など、作用もさまざまです。



【美肌の湯】アルカリ性単純温泉(湯本、塔ノ沢など)

アルカリ性単純温泉は、一般的にpH8.5以上の無色透明・無臭の湯が特長です。温泉水1kgあたりの溶存成分量が1,000mg未満と成分が控えめなため、肌への刺激が少なく、幅広い年代に親しまれています。

また、クレンジングのような作用で古い角質や皮脂を落としやすくし、肌のターンオーバーを穏やかに促すともいわれています。

さらに、温熱効果によって血行が促進され、肌の新陳代謝が活発になります。湯上がりの肌がしっとりとなめらかになることから「美人の湯」と称されることもあります。温泉成分の保湿作用も加わり、乾燥が気になる方やデリケートな肌質の方にも優しい泉質です。

入浴の際は長湯を避け、15分程度を目安に数回に分けて入るのが効果的です。肌をこすりすぎないよう注意し、やさしく体を洗うことを心がけましょう。

代表的な温泉地として「湯本温泉」が挙げられます。箱根十七湯の中で最も古い歴史を持つ由緒ある温泉地で、豊富な湯量を誇ります。新宿からロマンスカーで最速75分とアクセスも良く、箱根の玄関口として観光や食べ歩きも楽しめるため、何度訪れても新たな発見がある温泉地として親しまれています。

「塔之沢温泉」も、アルカリ性単純温泉を楽しむことができる人気のエリアです。江戸時代から文人墨客(ぶんじんぼっかく)に愛されてきた歴史があり、老舗旅館が立ち並ぶ風情ある街並みが魅力です。早川渓谷沿いを満喫できる点も、大きな魅力といえるでしょう。



【温活の湯】塩化物泉(強羅、宮ノ下、底倉など)

塩化物泉はナトリウムやカルシウムなどの溶存成分を1kg中1,000mg以上含む塩化物イオンを主成分とする泉質で、海水に似た成分を含むのが特長です。

入浴時に塩分が皮膚に付着して汗の蒸発を防ぐため、体温が逃げにくく「熱の湯」や「温まりの湯」とも称されています。

傷の治癒をはじめ冷え性改善や温活に適した泉質とされ、血行を促進して新陳代謝を高めることで、筋肉の緊張緩和、神経痛・関節痛の緩和、疲労回復といった効能も期待できます。保湿作用もあるため、肌の乾燥対策にも役立ちます。

入浴は38~40℃のややぬるめの温度で10分程度を目安に行い、長湯や高温浴は避けましょう。半身浴や足湯も、冷え性の改善に適した入浴法です。

箱根では主に「強羅温泉」や「宮ノ下温泉」「底倉温泉」などが知られています。

強羅温泉は多彩な泉質が楽しめる温泉地で、そのうちの一つとして塩化物泉も含まれています。箱根登山電車の終着駅であり、ケーブルカーの始発駅でもあるため、観光の拠点としても便利な立地です。

宮ノ下温泉は歴史ある温泉街として、異国情緒あふれるホテルや老舗旅館など、明治・大正期の建築が大切に保存されたノスタルジックな街並みが魅力です。

底倉温泉は自然に囲まれた静かな温泉地で、古くからの歴史を有します。戦国時代に豊臣秀吉の小田原攻めの際、蛇骨川(じゃこつがわ)の川原に温泉を掘らせたと伝わる「太閤石(いわ)風呂」が今も残されています。



【デトックスの湯】硫黄泉(芦之湯、湯ノ花沢など)

硫黄泉(硫黄温泉)は、温泉水1kg中に総硫黄が2mg以上含まれる泉質で、独特の硫黄臭や、乳白色のほかエメラルドグリーンなどの美しい色合いの源泉もあります。

新陳代謝を高めて角質を柔らかくし、老廃物の排出を促す作用があるとされ、デトックス効果を求める方にも人気があります。また、殺菌力が高いため、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹、ニキビなどの皮膚トラブルに悩む方にも適しているといわれています。

肌質によっては刺激を感じることもあるため、短時間の入浴を心がけ、入浴後はシャワーで硫黄分をしっかりと洗い流しましょう。変色防止のため、アクセサリー類も外しておくことをおすすめします。

箱根でも硫黄泉は古くから「薬湯」として親しまれ、江戸時代には皮膚疾患や慢性病の湯治場として利用されてきました。

代表する温泉地は「芦之湯温泉」や「湯ノ花沢温泉」などがあります。

芦之湯温泉は江戸時代から文人墨客に愛された歴史ある温泉地です。宿により泉質が微妙に異なる源泉や、湯の色が変化する神秘的な温泉など、多彩な湯めぐりが楽しめるのも魅力です。

湯ノ花沢温泉は自然湧泉に恵まれ「湯の花」(温泉の沈殿物)を日本で初めて採取・販売した温泉地としても知られています。箱根でも特に標高が高い場所に位置し、眼下には箱根外輪山の山並みが広がります。晴れた日には、小田原市街から三浦半島、房総半島まで見渡せる眺望も魅力です。



【その他】個性豊かな泉質たち(酸性泉、硫酸塩泉など)

上記以外にも、箱根には多彩な泉質が湧き出しています。

たとえば硫酸塩泉は、温泉水1kg中に硫酸イオンが主成分として1,000mg以上含まれる泉質で、血行促進や鎮静作用があるとされています。入浴により血流が良くなることで、冷え性や肩こりのケアを目的とする方にも親しまれています。

また、皮膚の脂分を洗い流す作用があり、すっきりとした肌ざわりを実感できる点も魅力です。

「強羅温泉」や「仙石原温泉」「姥子温泉」などで硫酸塩泉を体験することができます。

そのほか、炭酸水素塩泉は皮膚表面の汚れを落とす作用があるとされ、美肌効果や清涼感を好む方に選ばれています。「二ノ平温泉」や「小涌谷温泉」などでお楽しみください。

複数の泉質が混在するエリアも多く、日本有数の温泉地ならではの豊かな泉質を、一度に楽しめる点も箱根の魅力です。


POINT

自分だけの「効能めぐり」で、心も体もリフレッシュ

箱根では、肌に優しいアルカリ性単純温泉、体の芯から温まる塩化物泉、そしてデトックス作用が期待できる硫黄泉をはじめ、個性豊かな泉質を楽しむことができます。

日頃の疲れを癒やす旅、肌の調子を整える旅、あるいは心身のリフレッシュを図る旅など、目的に応じて泉質を選んでみてはいかがでしょうか。

複数の泉質をめぐる体験も、箱根ならではの贅沢な楽しみ方です。泉質の知識を携えて、上質な温泉旅行をぜひご体験ください。

※温泉の効能は体質や健康状態によって個人差があります。また、温泉は医療行為の代わりになるものではありません。持病のある方や肌が敏感な方は、入浴前に医師や専門家にご相談ください。



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