箱根の歴史を丸ごと体感！「箱根町立郷土資料館」見どころ徹底ガイド

箱根町立郷土資料館は、箱根の歴史や文化を多角的に学ぶことができる施設です。「歴史を知ると箱根はもっとおもしろい」をテーマに展示された館内は、楽しく見学しながら箱根の知識を深めることができます。

箱根温泉は、もともとは治療を目的とした湯治場でした。やがて旅人の往来が増えるにつれ、物見遊山の地としてにぎわい、湯治場から観光地へと発展してきました。資料館では、その歴史や文化をさまざまな角度から紹介しています。

それぞれの時代の文書や写真、浮世絵、富士屋ホテルが運行していた「富士屋自動車」の制服など、貴重な史料の展示は見応え十分です。

箱根登山電車「箱根湯本駅」から徒歩約5分、小田原厚木道路「箱根口IC」から車で約5分と、アクセスしやすいロケーションも魅力です。

常設展示では「温泉」と「道」という2つの視点から、箱根の歩みを紹介しています。

「温泉」に関する展示では「箱根七湯」から現代の「箱根十七湯」へと至る変遷を紹介。湯治場として親しまれていた箱根が、次第に温泉観光地へと発展していく背景を解説しています。

江戸時代に街道が整備されるにつれ、風光明媚な景色や史跡が見いだされるようになり、箱根は多くの名所を有する地として注目を集めました。さらに庶民の旅が盛んになるなか、東海道を行き交う旅人たちにより、箱根の宿場や付近の湯治場もにぎわいを見せていきます。こうして箱根は、湯治の場から物見遊山の地へと変わり、現在のような温泉観光地へと姿を変えていきました。

また「道」に関する展示では、宿場町として栄えた街道の様子や交通手段の発展と箱根との関わりについて紹介。道の変化が地域振興に与えた影響を学ぶことができます。

さらに、箱根を代表する伝統工芸「箱根細工」にも注目です。寄木細工や入れ子細工、象嵌（ぞうがん）細工といった技巧の光る作品に加え、製作に使われる道具類も多数展示された充実した展示内容です。職人の技と美意識に触れつつ、箱根の歴史と文化を視覚的にも楽しんでみてはいかがでしょうか。

特別展示室では、年に1～2回の企画展のほか、常設展示を補完するかたちで「箱根のはじまり」と題する展示を行っています。この展示では、地質時代から戦国時代末期の豊臣秀吉による小田原征伐までの歴史が、さまざまな資料を通してわかりやすく解説されています。

火山活動によって形成された地質時代から始まり、旧石器時代から弥生時代までの石器や土器、さらには「箱根神社」の創建、鎌倉幕府による二所詣（にしょもうで）、元箱根の石仏群に至るまで、古代から中世にかけての史実を幅広い視点で展示・紹介する貴重な内容です。

「箱根はかつて海だった」など、思いがけない事実に出会えるかもしれません。知るほどに奥深さが増していく箱根の歴史に触れられる、魅力的な展示となっています。

箱根町立郷土資料館では、実際に手を動かしながら歴史や文化に触れることができる5つの体験コーナーが用意されています。

かつて、わらじは旅人の足元を守る必需品でした。原寸大を作るのは大変ですが、ミニサイズであれば約30分で完成します。紙ひもで約5cmのミニわらじを作る体験コーナーは、お子さまから大人まで、ついつい夢中になってしまう手作り体験のひとつです。

また、からくり細工やモノクロ写真に色をつける彩色写真にも挑戦できます。寄木細工の美しい模様の仕組みを学べる寄木パズルや、箱根七湯の配置を覚える七湯パズルも人気です。

楽しみながら箱根の奥深い歴史と文化を体感できる参加型学習は、遊びを交えながら自然と知識が身に付くのが特徴です。まずは気軽に体験することにより、箱根の魅力をより身近に感じられるのではないでしょうか。

2階には、約2万冊もの専門図書がそろう図書室があります。箱根の郷土史はもちろんのこと、歴史・民俗・文化財に関する資料や、地方出版物、博物館の刊行物まで、貴重な資料を無料で閲覧できます。じっくりと調べ物をしたい方や、さらに深く箱根の歴史に触れたい方には最適な空間です。

本の貸し出しは行っていませんが、著作権法の範囲内でコピーサービスを利用できます。詳細は図書室受付へお問い合わせください。

箱根町立郷土資料館は、単なる展示施設ではありません。温泉と街道の歴史を軸とした常設展示に加え、箱根の成り立ちを追う特別展示や、遊び感覚で知識が身に付く体験コーナーなど、多角的に学びを深められるよう工夫されています。

さらに、約2万冊の専門書を所蔵する図書室では、歴史・文化に関する知的探求も可能です。箱根の美しい自然や温泉の背景にある歴史と文化に触れることで、これまでとは異なる角度から箱根の魅力を再発見できることでしょう。