森林浴という言葉が生まれたのは、1980年代のことです。林野庁が提唱したこの概念は、森の中で過ごすことで得られる健康効果に注目したものでした。以来、さまざまな研究により、森林浴が心身に与える影響が明らかになっています。
森の中を歩くと気持ちが穏やかになりますが、これには科学的な理由があります。樹木が発散するフィトンチッドと呼ばれる芳香成分は、自律神経を整え、ストレスホルモンの減少を促すとされています。また、森の中では視覚や聴覚に入る情報が穏やかで、脳への負担が少ないと考えられています。
木漏れ日の光や緑の色彩は、視覚を通じて脳の緊張をほぐす作用があるとされ、風に揺れる葉擦れの音や鳥のさえずりには、脳を活性化させるハイパーソニック・サウンドが含まれているといわれています。人間の耳には聞こえない高周波ですが、脳のリラックス状態を示すアルファ波を増加させる作用があるとされています。さらに、森林浴は単なる散歩とは異なる体験をもたらします。光と影の揺らぎ、土の香り、鳥の声、葉擦れの音。こうした五感への刺激が、デジタル機器に囲まれた日常では使われにくい感覚を呼び覚まします。
また、ゆっくりとした歩調で森の中を進むうちに、呼吸が自然と深まり、体全体がリラックスしていくのを感じられることでしょう。心拍数が落ち着き、血圧が安定するという身体的な変化も期待できます。加えて、森林浴は免疫力の向上にも寄与するとされています。免疫機能の要であるナチュラルキラー細胞の活性化により、風邪や病気への抵抗力が高まることが研究で示されています。
こうした効果は、一度の森林浴でも実感できる場合がありますが、定期的に続けることで、より持続的な健康効果につながるといわれています。森林浴の効果は数日から1ヵ月程度持続することが確認されている他、日々の健康維持にもつながると考えられています。
「HAKONEIKU」五感で感じる、箱根の森林浴ガイド
「HAKONEIKU」五感で感じる、箱根の森林浴ガイド
萌黄色の春から深緑に包まれる夏へ。箱根は自然散策に絶好のシーズンを迎えます。
木立を渡る風や木漏れ日が描く光と影の模様、足元の野草、野鳥の声。箱根の森には心が静かにほどけていく穏やかな時間が流れています。
木々の間に身を置くだけで、心身が深く癒やされることでしょう。今回は、箱根の静寂の中で楽しむ森林浴の魅力をご紹介します。
Contents
森林浴が心と体に効く理由
箱根でできる!森林浴の楽しみ方
箱根には森林浴に適した環境が整っています。初心者向けの山歩きコース「仙石原湖尻自然探勝歩道」を中心に、箱根ならではの森林浴体験をご紹介します。
仙石原湖尻自然探勝歩道
外輪山や大涌谷を望みながら歩く「仙石原湖尻自然探勝歩道」は、箱根でも気軽に森林浴を楽しめる散策コースの一つです。標高差が少なく平坦な道が続くため、森歩きに慣れていない方でも無理なく散策を楽しむことができます。
散策路へ一歩足を踏み入れれば、そこは鳥のさえずりと葉擦れの音だけが響く静寂の世界。ブナやミズナラの若葉が陽光を透かし、森全体が明るい緑に染まる様子は、この季節ならではの光景です。
早川にかかる橋の上に立てば、丸岳から金時山へと連なる雄大な稜線が視界に広がります。道中にはグッピーが泳ぐ「温湯の池」や、ハコネダケのアーチが続く緑の回廊など、見どころが続きます。展望台からは箱根外輪山や大涌谷の噴煙を望み、箱根の自然を感じることができます。明治期の面影を残す「耕牧舎跡」では、歴史を感じながら休憩するのもよいでしょう。
さらに進むと、箱根カントリー倶楽部の広々とした風景が眼前に広がります。芝の緑が広がるゴルフコースの背景には、丸岳や金時山、明神ヶ岳といった外輪山のパノラマに加え、内側には台ヶ岳や神山などの中央火口丘が静かな存在感を放っています。
道中では、オオルリやキビタキ、ウグイスといった野鳥の美しいさえずりが耳を楽しませてくれるでしょう。
芦ノ湖畔
仙石原湖尻自然探勝歩道を抜けた先に位置する湖尻エリアにも、森林浴を楽しめる散策スポットがあります。
「芦ノ湖キャンプ村」の敷地内には、木立を縫うように遊歩道が続いています。水辺の森ならではの清涼な空気を深く吸い込めば、爽やかな感覚が全身に広がることでしょう。
このほかにも「湖畔ふれあい園地」や「白百合台園地」など、広々とした緑の空間が整備されています。
箱根ビジターセンター
仙石原湖尻自然探勝歩道の起点「湖尻新橋」のそばには、箱根ビジターセンターがあります。
国立公園の自然情報を発信する施設で、歩道に入る前に季節ごとの植物や野鳥の情報、コースの状況を確認できます。森林浴をより深く楽しむための立ち寄りスポットとしておすすめです。
森林浴をする際の注意点
森林浴を安全に楽しむために、いくつか準備しておきたいポイントがあります。
まず、動きやすい服装を心がけましょう。森の中は気温が低く、風も通りやすい環境です。春から夏にかけても、標高の高い箱根では肌寒く感じる場合があるため、重ね着ができる服装を選び、薄手の上着を一枚持参すると重宝します。
また、遊歩道は整備されていますが、場所によっては足元が不安定なこともあります。歩きやすく、滑りにくい靴を選ぶのがおすすめです。山の天気は変わりやすいため、お出かけ前に天気予報を確認し、雨が予想される場合はレインウェアを用意しましょう。傘では手がふさがってしまうため、動きやすいレインウェアが適しています。
帽子や日焼け止め、虫よけスプレーも忘れずに準備しましょう。木陰が多いとはいえ、開けた場所では直射日光を浴びることになります。春から夏は虫が多い季節です。長袖・長ズボンを着用することで、虫刺されや植物によるかぶれを防ぐことができます。飲み物は必ず持参してください。森の中では、水分補給は各自で準備する必要があります。
起伏のある道を歩き続けると、気づかないうちに体力を消耗していることがあります。無理をせず、体調に注意しながら、ゆったりとしたペースで歩きましょう。軽食やおやつなど、エネルギー補給用の食べ物を携行しておくと安心です。
自然への配慮も大切です。植物の採取や遊歩道から外れるなどの行為は控え、ゴミは必ず持ち帰りましょう。
心と体を潤す、森林浴のすすめ
箱根は、都心から約1時間半の距離でありながら、森林浴に適した豊かな自然が残る観光地です。木漏れ日が揺れる小径、自然の静寂に包まれた箱根の森での森林浴は、心身を癒やす時間になることでしょう。
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