秋から冬へと静かにうつろう箱根は、日本が誇る四季の情景をドラマチックに魅せてくれる場所。秋の深まりとともに山々は絢爛(けんらん)たる紅葉から黄金色の絨毯へと姿を変え、大地を叙情的に彩ります。
やがて冬の気配が満ちると、凛とした空気の中どこまでも青く澄んだ湖面や悠久の時を刻む杉並木、冠雪を戴く富士山の姿が穏やかに融和し、水墨画のような静謐さを感じさせます。
うつり変わる季節のグラデーションが訪れるたびに新たな感動をもたらす箱根の絶景。冷気が五感をやさしく研ぎ澄ます秋冬には、身も心も景色の中に溶けてゆくような心地よさを体感することができます。
「HAKONEIKU」秋冬こそ訪れたい 静寂と彩りに包まれる箱根の絶景スポット
「HAKONEIKU」秋冬こそ訪れたい 静寂と彩りに包まれる箱根の絶景スポット
刻一刻と表情を変える自然の美しさに満ちる箱根の絶景。秋から冬にかけては、彩り豊かな情景から次第にモノトーンの世界にうつり変わります。
今回は、秋冬にこそ訪れたい箱根の絶景スポットを厳選してご紹介します。自然と建築美が見事に調和する箱根神社や、往時の面影を宿す旧街道、黄金色の絨毯が波打つ仙石原すすき草原など、この時季だけの特別な景色に出会えます。
古き良き日本情緒が息づく箱根で、五感を揺さぶる新たな感動に身を委ねてみてはいかがでしょうか。
Contents
秋から冬へ移ろう箱根の魅力
悠久の歴史と自然が溶け合う箱根神社
古くより関東総鎮守として尊崇(そんすう)される箱根神社では、箱根の豊かな自然を一度に堪能することができます。なかでも青い湖面に鮮やかに映える鳥居は、国内外の旅人を魅了してやまないフォトスポットです。
湖畔に映える神秘の鳥居
広大な敷地を有する箱根神社でまず向かいたいのが、芦ノ湖に佇む「平和の鳥居」です。鮮やかな朱色の鳥居と、その奥に広がる青く澄んだ湖面、辺りを囲む深い木々との鮮烈なコントラストは、息を飲むほどの美しさです。
この幻想的な景色を一目見ようと、国内はもとより世界中から連日多くの人々が長い列を作る、箱根屈指のフォトスポットとなっています。
朝靄に包まれる清らかな早朝から、水面が黄金色に染まる夕暮れまで、時間ごとに印象の異なる景色を楽しむことができます。箱根の自然と歴史が織りなす唯一無二の絶景を、ぜひカメラと記憶に収めてみてはいかがでしょうか。
老杉に守られる聖域への石段
「平和の鳥居」から伸びる長い石段は、本殿へと続いています。凛とした気配が漂い、一歩進むごとに日々の喧騒を忘れさせてくれます。
両脇には天を突くように堂々たる老杉がそびえ立ち、深まりゆく季節がもたらす澄み切った静寂と、背筋が伸びるような神聖な空気が辺りを包み込みます。長くこの地を見守ってきた巨木が織りなす並木道は、現世と聖域を隔てる結界のようです。
石段を上り切ると、目の前には風格漂う朱塗りの本殿が現れます。自然の圧倒的な生命力と歴史の情景の中に、身も心もゆったりと浸ることができます。
東海道の歴史を刻む箱根旧街道
江戸時代に整備された箱根旧街道。東海道の要でありながら「天下の険」と称され、旅人を悩ませた難所は、今も当時の面影を残しています。街道沿いには、樹齢300年を超える壮大な杉並木が約500mにわたり続いています。
江戸の面影と現代が交差する石畳
江戸時代の面影を今に伝える箱根旧街道。今では箱根湯本駅近くのバス停「三枚橋」から「箱根関所跡」までを結ぶルートとなっています。全長約11.6km、所要時間は約4時間半。道中には寄木細工発祥の地として知られる「畑宿」があるほか、「箱根馬子唄」にも登場する趣ある石畳が続きます。
苔むした石畳に木漏れ日が降り注ぐ景色は、まるで別世界のようです。雨上がりには石畳がしっとりと濡れ、いっそう情緒が深まります。
凛とそびえる元箱根旧街道杉並木
元箱根から恩賜箱根公園へと至る約500mの道には、立派な杉並木が続いています。1618年に幕府の命で植えられたとされ、多くの街道で見られる松の並木とは異なり、箱根山の気候に適した杉が選ばれたといわれています。 現在は樹齢350年を超え、高いものでは40m近く、幹回り4mに達する巨木も含めた400本以上が連なっています。
かつては強い日差しや凍てつく木枯らしから、往来する旅人を護る役割を果たしていました。激動の時代を経て、今も訪れる人々を静かに見守っています。
湖畔の静けさに抱かれる九頭龍神社本宮
箱根神社と合わせて九頭龍神社をお参りする「両社巡り」を行うと、さらなる運気を呼び込むことができます。箱根神社の境内に建つ新宮で参拝したあと、本宮にも足を延ばすと趣の異なる絶景が待ち受けています。本宮へは、徒歩やレンタサイクルのほか、モーターボートでのアクセスも可能です。
芦ノ湖畔で時を刻む本宮
箱根神社の境外末社として歴史を刻む九頭龍神社。その起源は奈良時代に、芦ノ湖で災いをもたらしていた九頭の龍を高僧・万巻上人(まんがんしょうにん)が鎮め、守護神として仰いだことに始まるとされています。
古来、生命の源である水を司る神として篤く信仰されてきましたが、現代では開運や良縁成就のご利益で知られています。
豊かな自然に囲まれた芦ノ湖畔の「本宮」では、湖上に浮かぶように建つ鳥居が有名なビュースポットとなっています。その風光明媚な美しさに、誰もが時を忘れて心を奪われることでしょう。
秋冬の訪れとともに楽しむ参拝
深い森に抱かれながら、芦ノ湖畔の奥深くに建つ九頭龍神社本宮。賑やかな観光地から離れて、心静かにお参りすることができる特別な場所です。
鳥のさえずりに耳を澄ませ、落ち葉の絨毯を踏みしめながら進むと、鮮やかな朱塗りの社が迎えてくれます。金運や開運、縁結びなどの豊かなご利益があるとして、これまで多くの人々が祈りを捧げてきました。
色付く木々と澄んだ湖面が織りなす景色は、訪れる人の心に深く刻まれることでしょう。日常を忘れ、心安らぐ美しき水の聖域まで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
黄金色に輝く仙石原すすき草原
秋から冬にかけてドラマチックなうつろいを見せる仙石原すすき草原は、大地の呼吸を肌で感じることができる自然が織りなすスポットです。目の前にあるのは、澄んだ空気とどこまでも広がる黄金色の世界だけ。自然の息吹に抱かれながら、心がほどける至福の時間が流れています。
箱根を代表する秋の絶景
「かながわの景勝50選」のひとつである仙石原すすき草原は、箱根の絶景を語る上で外せない名所です。台ヶ岳の山裾を覆い尽くすようにすすきが広がり、金時山や丸岳などの秀麗な山々と湿原が見事に調和した雄大な景色を楽しむことができます。
特に10月から11月の最盛期には、黄金色の海へとその姿を変え、陽の光を浴びたすすきが風に揺れてきらきらと輝き出します。やがて冬が訪れると、草原はノスタルジックな黄金色から、霜や雪をまとった銀世界へと表情を変えます。
すすきのざわめきに包まれる散策路
草原の中央には、まっすぐに一本の散策路が伸びています。そこは日常の喧騒を忘れさせる、幻想的な世界への入り口です。
一歩足を踏み入れると、大人の背丈を優に超えるすすきが両脇を埋め尽くし、まるで黄金の海をかき分けて進む旅人のような高揚感に包まれます。風が吹き抜けるたび、さらさらと心地よい葉擦れの音が聞こえてきます。
日中の太陽のまばゆい輝きから一転し、夕暮れ時には草原全体が深い黄金色へと染まりゆく奇跡の瞬間に、深い感動を覚えることでしょう。自然の中に溶け込むような、特別なひとときに身を委ねることができます。
秋冬ならではの箱根の絶景を楽しもう
黄金色に輝く仙石原すすき草原や神聖な空気に包まれる箱根神社、歴史情緒あふれる旧街道などの名所の数々。秋から冬へと向かう箱根の景色は、訪れる人の心をそっと包み込むようなやさしさに満ちています。
ただ身を置いているだけで、内側から満たされていくような贅沢な時間がここには流れています。日常の荷物を少しだけ置いて、まだ見ぬときめきに出逢う旅へ、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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